はじめに

「うちの子、目に見えることや具体的な話は理解できるのに、ちょっと複雑な話になるとピンと来ていないみたい…」
そんな風に感じることはありませんか?
この背景には「抽象思考力」の発達段階が関係している可能性があります。
抽象思考とは、目に見えない概念を扱ったり、比喩的に物事を考えたり、複数の事象をまとめて共通点を見出したりする力です。
この力は、学習面だけでなく、論理的な思考、感情理解、人間関係や将来設計にも大きな影響を与えるといわれています。
この記事では、小学生のうちから無理なく抽象思考を育むためのアプローチについて、具体的な実践方法や家庭でできる工夫を紹介していきます。

「見えるもの」「聞いたこと」をそのまま覚えるだけじゃなくて、自分の中で“考えて理解する”ことが大事なんだよ!
抽象思考が育つと、世界の見え方が変わってくるんだ!
抽象思考とは何か?

抽象思考とは、「具体的なもの・出来事」から離れて、「本質的な意味」「概念的なつながり」などを考える力のことです。以下のような能力が含まれます:
- 分類・グループ化する力(共通点や違いを見出す)
- 比喩的な理解(例え話、象徴、暗喩)
- 論理的な推論(AだからB、というつながりを見つける)
- 一般化・法則化(経験をまとめて法則を見出す)
たとえば、
- 「優しさって何?」と聞かれて説明できる
- 「人生って旅みたいだね」という比喩を理解できる
- 「AくんとBくんは違うけど、共通しているのは◯◯だ」と捉えられる
といった思考ができるようになるのが、抽象思考の特徴です。
なぜ今「抽象思考」が注目されているのか?

①複雑な社会を生き抜く力になる
AIやテクノロジーが発展する現代では、「暗記力」だけでは通用しない時代に入りました。
これから求められるのは、「自分で考え、選び、表現する力」。
抽象思考は、まさにその中核にある力です。
② 学習全般の理解度を左右する
特に文章読解、数学、社会、理科などの科目では、抽象的な概念や構造理解が求められます。
「なぜ?」を考える力、「これは何のため?」と意味を問う力が、学びの深さを生みます。
③ 思いやりや人間関係にも関係する
「相手の気持ちを想像する」「自分の感情を整理して言葉にする」といった感情的な成熟にも、抽象思考が関係しています。
単に「悲しい・うれしい」だけでなく、「複雑な気持ち」「葛藤」「共感」などを理解できるようになります。
子どもにとっての抽象思考の発達段階

抽象思考は、ある日突然できるようになるものではありません。
発達段階としては、おおむね10〜12歳以降に伸びていく能力ですが、幼少期からの環境や関わり方によって、芽が育ちやすくなります。
つまり、小学生のうちに「考える」経験、「つながりを見つける」対話、「違う視点を持つ」習慣を積んでおくことが大切です。
抽象思考を育てる具体的なアプローチ5選
1.「なぜ?」を問う習慣を育てる

答えのある質問ではなく、考える質問を意識的に使いましょう。
- 「どうしてその選択をしたの?」
- 「これは他にどう使えるかな?」
- 「この話の“教訓”って何だと思う?」
すぐに答えを教えるのではなく、「一緒に考える」という姿勢がポイントです。
2.絵本や物語の「裏」を考える時間を作る

読んだ後にこんな問いを加えるだけで、思考は深まります:
- 「このキャラクターはどうしてそんなことをしたの?」
- 「もし違う結末だったらどうなったと思う?」
- 「この話のテーマって何だったかな?」
物語からテーマを抜き出す力=抽象化の第一歩です。
3.分類遊び・グルーピングを取り入れる

例えば、こんな遊びで思考が育ちます。
- 「動物カードを“住んでいる場所別”に分けてみよう」
- 「果物と野菜の違いってなに?」
- 「どっちも違うけど、何が同じ?」
これは具体物を使って概念的な分類を育てる方法です。
4.抽象語を子どもと一緒に言語化してみる

たとえば、「正義」「優しさ」「努力」などの言葉について、意味や具体例を一緒に考えてみます。
- 「優しさって、どんなときに感じる?」
- 「正義って人によって違うと思う?」
- 「努力って、どんな行動?」
意味の曖昧な言葉を自分の言葉で整理する力がついてきます。
5.図や表、マインドマップを使って「つながり」を見せる

抽象思考の土台は、「関係性」「構造」「パターンの理解」。
そこで、子どもの思考を“見える化”するのもおすすめです。
- テーマごとのマインドマップを作る
- 時系列や因果関係を図にする
- 比較表をつくって「同じ・違う」をまとめる
目で見て整理する→頭で抽象化するという流れをつくれます。
親が気をつけたいこと
・「抽象的な話=大人の話」と思い込まない
幼児〜小学生でも、環境によっては驚くほど抽象的な理解が可能です。
・否定しない。「そういう考えもあるね」と受け止める
斬新な答えが出ても「それは違う」と言わずに「なるほど、そういう見方もできるね」と言ってあげると、思考がどんどん広がります。
・焦らない。じっくり育つ力と捉える
数ヶ月・数年かけて深まる力なので、急に「考える力がつかない」と焦らず、プロセスを大事にしましょう。
まとめ|抽象思考は「考える楽しさ」を知る力

抽象思考は、学力だけでなく、生きる力そのものに繋がります。
「考えるって楽しい!」「いろんな見方があるんだ!」と気づいた子は、どんな場面でも柔軟に対応し、自分の考えを持ちやすくなります。
日々の会話や遊びの中に、少しずつ「考える問い」「つながりを見つける工夫」「抽象語を扱う時間」を取り入れてみてください。
抽象思考は、知識ではなく経験と対話で育つ力。
正解のない問いを一緒に楽しむ親子の時間こそ、思考力を伸ばす最高の環境になるはずです。

抽象思考って、目に見えないものを考える“頭の冒険”みたいなもの!
「どうして?」「もしもこうだったら?」って、どんどん問いを楽しんでいこう!
参考文献
- 【考える力アップ!】子どもの論理的思考力を伸ばす方法・ナンバー1 -ダイヤモンド・オンライン-
- 新学習指導要領における思考力,判断力,表現力の評価について ‐文部科学省-
- 思考力,判断力,表現力の評価 -教育出版-

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