はじめに
近年、「非認知能力」という言葉が注目されています。これまで教育の焦点は主に学力や知識の習得といった認知能力に置かれていましたが、非認知能力の重要性が再認識されています。では、非認知能力とは何か、なぜ今これが重要とされているのか、そしてどのように育むことができるのかについて詳しく見ていきましょう。
「非認知能力ってなに?それって勉強とどう関係あるの?」そう感じる方も多いかもしれませんが、実はこれが未来を切り拓くカギなんです!
非認知能力とは?
非認知能力(non-cognitive skills)とは、学力や知識とは異なる、感情や態度、性格などの能力を指します。
具体的には、以下のような能力が含まれます:
- 自己制御力:感情をコントロールし、自分の行動を抑制する能力
関連記事:家で簡単にできる!子供のセルフコントロール力を伸ばす遊び5選 - 協調性:他者と協力し、チームとして働く能力
- 忍耐力:困難や挫折を乗り越える粘り強さ
関連記事:未来に強くなる子育て:ストレス耐性を育む育て方 - 共感力:他者の感情や立場を理解し、思いやる能力
- 意欲:目標に向かって努力する動機付け、自発的な意欲
もちろん、非認知能力はここにあげた5つだけでなく、IQやテストの点数などのように測定できる認知能力とは異なり、目に見えにくい、人の心や社会性に関連する能力全体を指します。
なぜ非認知能力が重要視されているのか?
1. 21世紀のスキルとしての重要性
現代の社会や職場環境は急速に変化しており、従来の認知能力だけでは対応しきれない複雑な問題が増えています。非認知能力は、柔軟な思考やコミュニケーション能力、チームワークを必要とする場面で特に重要です。
文部科学省が出している新学習指導要領でも、これまでの計算や読み書きなどの認知能力に加えて、21世紀型スキルとして、非認知能力として「やり抜く力」、「自制心」、「社会性」、「思いやり」を育むことの必要性が示されています。
2. 人生の幸福度に影響
研究によれば、非認知能力は学業成績や将来の職業成功、さらには人生全般の幸福感にも大きく影響することが分かっています。自己制御力や忍耐力を持つ子供は、より高い教育成果を得やすく、社会的にも成功しやすい傾向があることが、シカゴ大学のノーベル経済学賞を受賞したジェームズ・ヘックマン教授のペリー就学前プログラムという40年に渡る追跡調査によってわかっています。
研究について:https://benesse.jp/berd/jisedai/research/detail_5784.html
3. 社会的・情緒的な健康の促進
共感力や協調性を育むことで、他者との良好な関係を築き、ストレスに対処する力が身につくので、非認知能力は、子供たちが健全な社会的・情緒的な健康を維持するためにも重要な力です。
ストレス社会といわれるような現代の日本で、非認知能力はこれからの社会で必要不可欠な力と言えるでしょう。
親にできる非認知能力を育む5つのポイント
学校のテストなどでは測ることのできない非認知能力をどのように育むことができるのか、親にできる行動について、見ていきましょう。
1. 積極的なコミュニケーション
まずは親子関係でのコミュニケーションが非常に重要です。子供とのコミュニケーションを積極的に行うことで子どもは、日常の会話や遊びの中で、感情を表現する方法や、自己理解や他者理解が深まります。
難しく考える必要はありません。例えば、子供に「今日はどうだった?」と尋ね、その話に真剣に耳を傾けるだけで、子供は自分の感情を言葉にする練習ができます。
2. モデルとなる行動
普段から親自身が非認知能力を実践する姿を見せることも大切です。子供は親が思っている以上に、周りをよく見て、そこから学んでいます。親が感情をコントロールし、忍耐強く問題解決に取り組む姿を見せることで、子供はその行動を自然と、適切な行動を学びます。
また、協力し合う姿勢や他者への思いやりなど、行動の規範となる背中を見せることも重要です。
3. 挑戦と失敗を経験させる
非認知能力の中でも、「やり抜く力」や「問題解決力」を育むには、挑戦することや失敗を経験することが、欠かせません。
子供が困難に直面したとき、すぐに助けるのではなく、どうすれば解決できるか一緒に考える機会を提供するように心がけましょう。
どうしても、子供が心配で何かあったらすぐに助けてしまうと、子供はいつまで経っても自立できず、自制心やストレスへの耐性を育むきっかけを失ってしまいます。
失敗から学び、再挑戦することで、忍耐力や問題解決能力が養われます。
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4. 感謝の気持ちを伝える
日常生活の中で、感謝の気持ちを伝えることも非認知能力を育む一助となります。
何気ない場面でも、「ありがとう」という言葉を積極的に使い、他者への感謝や思いやりを示すことで、子供もその姿勢を学びます。
こういった小さな行動が、人への敬意となり、社会性を育むきっかけに繋がります。
5. クリエイティブな活動
芸術や音楽、スポーツなどのクリエイティブな活動を通じて、子供の非認知能力を育てることができます。これらの活動は、勉強などの正解のあるものとは違い、自分の中にある感情や思考を表現することになり、子供の多様な能力を伸ばします。
これらの活動は、感情表現だけでなく、成果を出すための練習や、自己研鑽が必要となり、「目的に向かう力」の育成にも効果的です。
非認知能力とロボットプログラミング教室
近年、ロボットプログラミング教室が子供たちの間で人気を集めています。この習い事は、単にプログラミングスキルを身につけるだけでなく、非認知能力の育成にも非常に有効です。
1. 問題解決能力の向上
ロボットプログラミングでは、きちんとロボットを意図の通りに動かすために、ロボットの製作からプログラミングのトライ&エラーなど、様々な問題に直面し、それを解決するための方法を考えます。
この過程で、論理的思考やクリエイティブな発想が求められ、非認知能力が自然と養われます。
2. チームワークとコミュニケーション
多くのロボットプログラミング教室では、授業の中で、子どもたちはチームで課題に対して取り組む機会があります。
共同作業を通じて、協力し合い、意見を交換し、問題を解決する能力が育まれます。1つのプロジェクトを長期間かけて取り組む経験は、将来の社会生活や職業生活において非常に貴重な機会です。
3. 挑戦と失敗を楽しむ習慣
ロボットプログラミングには挑戦と失敗がつきものです。
子供たちは自分のプログラムがうまく動かない時、何度も試行錯誤を繰り返します。実際に起こっている現象を目で見て、確認し原因を見つけていく過程で、忍耐力や再挑戦する勇気、失敗も楽しみながら乗り越える習慣が身につきます。
まとめ
非認知能力は、21世紀の複雑な社会を生き抜くために、認知能力と同様に、重要な役割を果たします。だからといって、非認知能力を育むことを負担に思う必要はありません。
非認知能力の育成は、親子の関係をより深めるチャンスでもあります。お子さんと一緒に挑戦し、学び、成長する過程を楽しみましょう。勉強などの認知能力ばかり見ていると、数値による優劣が明確になり、プレッシャーに感じることもあるかもしれませんが、非認知能力は数値で測れない能力ではありますが、目に見えない能力ではありません。
ぜひ子供の日常の中の取り組みや行動を見ながら、この子にはどんな非認知能力があるんだろうかと考えてみてください。
「これまでよりも失敗しても諦めなくなったな。」「こんなに熱中して取り組んでいるのすごいな」と思えるようなことを見つけることが、子育ての楽しさにも繋がると思っています。
非認知能力は、未来の成功の鍵!
日々の生活の中で、意識して育んでいきましょう!
参考文献
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