近年、子供の教育において「探究学習」の重要性が高まっています。
探究学習とは、子供が自ら興味を持ったテーマについて深く掘り下げ、自主的に学ぶことを指します。本記事では、探究学習がなぜ今、必要とされているのかを社会情勢やこれまでの経緯を踏まえて解説し、その重要性と特徴について整理します。
探究学習って、なんでこんなに注目されてるのかな?一緒に見てみよう!
社会情勢の変化と求められる力
1. 技術の進化と情報化社会
現代は技術の進化と情報化社会の到来により、膨大な情報が飛び交う時代です。ちなみに、1年間で全世界で通信されるデータ量は、2020年には64.2ZB(ゼタバイト)=64.2兆GB(ギガバイト)にのぼり、2025年には180ZBにまで膨れ上がるという予想が出ています。
*出展:International Data Corporation; Seagate Technology; Statista estimates
ちなみに、増え続けるデータ量は膨大で、現在のインターネット上にはこの世界中の砂粒をすべて集めたよりも多いと言われています。
インターネットやデジタルデバイスの普及により、子供たちは簡単に大量の情報にアクセスできるようになりました。今までと全く異なる超情報化社会では、単なる知識の習得だけでなく、自ら情報を収集し、集めた情報から考え、自分で答えを見つけ出していく、問題解決力が求められます。
そこで、自ら問題を立て、その解決へ向けて研究し、答えを導き出していく探究学習が注目されるようになったのです。
2. グローバル化と多様性の尊重
また、高速情報通信技術の発展により、現実での距離は大きな問題にならなくなり、新型コロナウィルス普及の影響もあり、日本でも在宅勤務が大きく推進しました。このように地球のどこにいても、繋がれるグローバル化が進む現代社会では、異なる文化や価値観を持つ人々と協働する機会が増えています。
これからの時代には、多様な視点や考え方に触れ、異文化の存在を理解し、1つの正解に縛られない柔軟な思考を身につけることが重要です。他者とのコミュニケーションや協力のスキルも必要となり、従来のような、教室で一律に学ぶということでは、育みづらい課題が生まれてきています。
3. 社会問題の複雑化
現代社会は、環境問題や社会的不平等、経済危機など、複雑な問題に直面しています。
例えばプラスティックゴミの問題を1つ扱っても、そもそもの生産量に対するアプローチや、消費量の課題、ごみの焼却施設の性能の問題や、ごみの回収コスト、不法投棄、生分解性プラスチックの導入などなど、1つのテーマであっても、複雑に絡み合い、なかなか1つのアプローチで正解を捉えることは難しくなっています。
これらの問題を解決するためには、従来の枠組みにとらわれない発想と、多角的な視点で問題を捉える力が必要です。
従来型教育の限界と探究学習への期待
1. 伝統的教育の限界
従来の教育は、教師が一方的に知識を伝える講義形式が主流でした。
しかし、この方法では子供たちの自主性や創造性を引き出すことが難しく、受動的な学習習慣が身についてしまうことがあります。
もちろん従来の教育には優れていることもいっぱいあります。例えば、給食制度が充実しており、自然と栄養バランスの採れた食事を摂取できることや、教室での集団活動を通じて、マナーや振る舞いを学ぶことや、海外と違い清掃を子供が行っており「汚したものは自分で綺麗にする」という躾がきちんとしていることも特徴です。日本従来の教育の価値は、平等に高い知識レベルや教養を育むことのできるものであると言えます。
ちなみに、国際教育到達度評価学会(IEA)が実施したTIMSS(国際数学・理科教育動向調査)の結果では、日本は小学4年生の数学で58か国中5位、理科は4位と非常に高い結果となっています。
一方、「算数・数学の勉強は楽しいか?」という質問には、小学4年生の国際平均が84%なのに対し、日本は77%、中学生は国際平均70%に対し56%と、勉強を楽しんでいると答える割合が国際平均を大きく下回っている結果となっています。
出展:国際数学・理科教育動向調査(TIMSS)の調査結果 - 文部科学省 –
ここでも、従来の日本教育が、自主性が弱く、受動的な学習習慣を創り上げている結果となっています。
2. 教育改革の動き
こういった社会の変化から、日本を含む多くの国々で教育改革が進められています。
その一環として、アクティブ・ラーニングやプロジェクト型学習の導入、プログラミング教育の必修化が行われるようになりました。これにより、子供たちが21世紀に必要とされるスキルを身につけることが期待されています。
ちなみに経済産業省は、「人生100年時代の社会人基礎力」として次の3つの能力と12の能力要素が重要だといっています。
- 前に踏み出す力
主体性、働きかけ力、実行力 - チームで働く力
発信力、傾聴力、柔軟性、状況把握能力、規律性、ストレスコントロール力 - 考え抜く力
課題発見力、計画力、想像力
出展: 社会人基礎力 - 経済産業省 –
3. 探究学習の成果
このように、社会人として求められる3つの力を育むには、従来の教育では課題が残ります。
そこで、注目されているのが探究学習です。生徒自身が問題を設定し、問題を解決するために必要な情報を収集・分析し、意見を交換したり協働しながら課題に取り組むことで、自信を持ち、自己効力感を高め、自分で考える力や前に踏み出す力、そしてチームで働く力の3つを育むことができると言われています。
探究学習の3つの特徴
1. テーマ選択の自由度の高さ
探究学習では、子供は決められた宿題や課題をこなすのではなく、テーマ選択の自由度が高く、自分のやりたいことや興味・関心のある分野を選択できます。
そのため、やらされから始まるのではなく、自分のやりたいから始めることができ、学びの質が高くなります。また、活動を通じて、実際に自分が何に興味を持っているかが明確になり、将来の進路についても考えるきっかけになります。
2. 詰め込みではない学習
これまでの授業を受けるという受動的な詰込み型の学びではなく、自ら必要なことを学習するスタイルになりやすいことが探究学習の大きな特徴です。
もちろん大人は、子供の自主性を尊重する一方で、適切なサポートが欠かせません。教師や親が子供の学習を見守り、必要に応じてアドバイスを提供することで、子供が困難に直面したときに乗り越える力を養うことができます。
3. 循環型の学習スタイル
上の図にもあるように、探究学習は1回学んで終わりというものではなく、課題の設定⇒情報収集⇒整理・分析⇒まとめ・表現という一連の流れを繰り返していくものです。
調べて終わりというものではなく、活動を継続的に行うことで、より自身の考えが深まり、またわかっている範囲でもとりあえずやってみることで、新しいサイクルが生まれることを肌感覚で学ぶことが重要となります。
公式を覚えて、それ通り計算するのではなく、いま持っている自分の情報にきちんと向き合いながら、新しく必要な情報が出てくれば取得し、わからなければやってみる。そういった能動的にサイクルを回すことが重要となるのです。
実際にロボットプログラミング教室プロバードの授業でも、探究学習の考え方を採用しています。例えば車いすのバリアフリー化をテーマに、実際にスロープを設計し、作成した車いすロボットが登れるかどうかを検証していきます。
探究を通して、斜度の考え方や、物理現象として転倒することがなぜ起こるのかや、車輪の滑り、重心の位置や、進入速度の問題など、生徒一人ひとりの視点からアプローチします。一人ひとりに学びがあり研究結果が異なるからこそ、幅広い学びが生まれ、またその結果をクラスのメンバーとシェアすることでそれぞれが新しい視野を学ぶことができるのです。
まとめ
現代社会において、子供たちが未来に向けて必要なスキルを身につけるためには、探究学習が重要な役割を果たします。技術の進化やグローバル化、複雑な社会問題に対処するためには、子供たちが自主的に学び、問題解決能力や多様な視点を持つことが求められます。
探究学習は、これらのスキルを育むための効果的な学習方法であり、親や教育者がその導入をサポートすることが重要です。
探究学習を取り入れて未来のスーパースターを目指そう!みんなの可能性は無限大!
参考文献
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