はじめに
効果的な学習方法は常に教育界の関心事です。
この記事を見ている人も、うちの子に合った勉強法はどんなのだろう? なんで他の子と同じ時間やっているのに、成果が出ないんだろう? と悩まれている親御さんもいるかもしれません。
実は、教科書に線を引いたり、何度も同じテキストを読み返したりする学習法はあまり効果的でないかもしれません。
この記事では、最近の脳科学の研究で判明した、リトリーバル(retrieval practice)が学習効率を大幅に向上させることを紹介しながら、具体的な学習方法について詳しく説明します。
リトリーバル?
聞きなれない単語だけど、一体どんな学習方法をするといいんだろう
脳科学が示す学習法の真実
従来の学習法の限界
脳の研究が進むにつれて、従来の学習法として広く行われてきた、テキストを繰り返し読む方法や教科書に線を引く方法は、一見効果的に思えますが、実際には知識の定着にはあまり役立たないことがわかっています。
なぜなら、これらの方法は情報を受動的に処理するだけで、脳の働きとしては弱く記憶の強化にはつながりにくいからです。
リトリーバルとは何か?
リトリーバルとは、学んだ情報を意識的に思い出すことで、記憶を強化する学習方法です。
具体的には、テスト形式で自分に質問を出したり、学んだ内容を再現したりすることがリトリーバルに当たります。この方法は、情報を単に受け取るだけでなく、積極的に活用することで記憶の強度を高めます。
分からない問題に対して、答えを丸写しにすることと、答えがわからなくても思い出せるところまで頑張ってやってみて、わからないところだけを一部答えを見て、またなんとか自分で考えてみる解き方では、1つの問題に取り組むという行為は同じに見えますが、記憶の定着度が全く異なることは皆さんも経験があるのではないでしょうか。
リトリーバルの効果
意識的に記憶を思い出すことを行うリトリーバルには2つの大きな効果があります。
1.記憶の強化
リトリーバルの最大の利点は、記憶の強化にあります。
情報を思い出す過程で、脳内のシナプスが強化され、情報の定着が促進されます。これにより、長期記憶に移行する情報の量が増え、必要な時に情報を引き出しやすくなります。
2.メタ認知の向上
リトリーバルは、記憶を引き出す学習方法なので、自分がどれだけ理解しているかを自己評価するメタ認知能力の向上にも寄与します。
自分の知識の欠けている部分や理解不足の箇所を特定することで、効率的な学習計画を立てることができ、より短期間で網羅的な学習ができます。
リトリーバルの具体的な実践方法
自己テスト
最も簡単なリトリーバルの方法は、自己テストを行うことです。学んだ内容を自分で質問形式にして、答えを思い出す練習を繰り返します。これは、教科書の内容をそのまま読むよりも効果的です。
もちろん答えが分からないからと言ってすぐに諦めて答えを見てばかりでは、リトリーバルを活かすことはできません。自己テストとしてわからなくてもすぐに答えを見るのではなく、思い出せないか考えることが重要です。
フラッシュカード
フラッシュカードを使用することもリトリーバルに適しています。単語や概念を書いたカードを順番に取り出していき、最後までいけば、最初から順番に何枚目まで思い出せるかを確認する学習方法です。この方法は特に語学学習や専門用語の暗記に有効とされています。
グループディスカッション
他の生徒と一緒に学習内容をディスカッションすることも、リトリーバルの一つの方法です。互いに質問を出し合ったり、学んだ内容を説明し合うことで、相手へ伝える過程を通じて、情報を整理して深く理解することができ、記憶に定着させることができます。
まとめノートの作成
学んだ内容を自分の言葉でまとめたノートを作成することも効果的です。
ノートにまとめる過程で、インプットした情報を整理し、自分の理解した内容を、自分のわかる言葉でアウトプットすることができます。また、後で見返す際にも、自分にわかる言葉で書いてあるので、理解に役立ちます。
リトリーバルと脳科学の関連性
記憶の形成と強化
リトリーバル学習は英語のretriebalという単語からきており、もともとの意味は「回収」「想起」「検索」「回復」「挽回」などです。リトリーバルは脳が一度記憶したことを、想起したり検索をかけることで、より記憶を定着させ、しっかりと引き出すことができるようになるために必要不可欠な学習方法と言えるでしょう。
脳は情報を思い出す過程で、海馬と前頭前野が活性化され、シナプスの結びつきが強化されます。これにより、情報の記憶が長期的に維持されやすくなります。
まとめ
従来の学習法では効果が薄い勉強方法ですが、リトリーバルを知り、その考え方を取り入れることで、学習効率を劇的に向上させることができます。
脳科学の観点からも、記憶のインプットだけでなく、記憶を思い出す・リトリーバルを行うことで、記憶の強化やメタ認知の向上に非常に効果的であることが証明されています。
お子さんの学習方法を見直す際に、リトリーバルを取り入れることをぜひ検討してみてください。教科書の線引きや読み返しよりも、実際に問題を解いたり、学んだ内容を思い出す練習をすることで、学習の効果が大きく向上します。お子さんの学びをサポートするために、効果的な学習方法を取り入れていきましょう。
同じ時間勉強するなら、より効果的な勉強方法にしていきたいですね!
ぜひ、1つの方法としてリトリーバルを取り入れてみてください!
参考文献
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